ちいさな心とおおきな世界

悩める若者の雑記と旅行記。チェコ共和国プラハに留学中。

ストックホルムでカメラを奪われた話を振り返る

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こんにちは。ぽんでです。

またしばらく更新が空いてしまいました。前回の事件からショックでふさぎ込んでいたという訳ではありません。ただのんびりだらだらしていただけです。

 

 

今回の記事では前回書きなぐったカメラ強盗の話なんかを日にちを置いて振り返ろうと思います。是非混乱の最中とりあえず当日中に綴ったものも見てください

 

▼ 強盗にあった直後に混乱しながら書きなぐった文章

www.pondelife.com

 

 

事件概要・状況

さて状況だけ簡単にまとめておきます。

僕は留学先のチェコから1ヶ月ほどあちこちふらふらと回っていました。その途中でスウェーデンの首都ストックホルムへ行ったのです。特にストックホルムでこれといった目的がある訳でもなく行ったので、基本的には街の中をひたすらうろうろするだけのつもりでした。

 

2018年2月9日、早朝6時くらいに夜行バスでストックホルムに到着して、メトロを使いホステルへ行き、少し休んでから街へ歩きに出かけました。一日中街の中を観光がてら歩き回ってクタクタになったところ、最後に入場料が無料だという近代美術館へ行って閉館時間の18時まで見て回ってから宿へ戻ろうとしました。めちゃくちゃ疲れていて、カメラのバッテリーもほぼなく、メトロかトラムを使って帰ろうかと迷ったけど、一回600円くらいかかってしまうので節約のために徒歩で宿まで3~4kmほど歩こうと思いました。

 

旧市街ガムラスタンを抜けて南側の島へ行く橋を歩いていました。おそらく19時前くらいで、宿まであと10分くらいだと思ったところで、橋の終わり付近で後ろから声をかけられました。スウェーデン語か何か知らない言語で喋っていましたが、火をつける仕草からライターが欲しいのかと思い「no, sorry」と歩き続けようとしたところ、反対側から別の男が僕のことを押し倒してきてそのまま地面に倒されてしまいました。(殴られたのかなんなのかあんまり覚えていません。気づいたら倒されていた感じ)ちなみにこの橋は線路も車道も歩道もある結構大きい橋なのですが、その時工事中で少し人通りが少なかったかもしれません。それでも普通に人は通っています。

 

「あ、これはやばい」と思う前に反射的に首にかけていたカメラを守ろうと、仰向けの状態のまま両腕でがっちりホールドしていました。しかし抵抗むなしく横たえた僕を蹴ったり殴ったりしながらカメラは首にかかっていたストラップがちぎれ持って行かれてしまいました。向こうも焦っていたのかカメラを取った時点で携帯を探そうと試みるも、すぐ逃げて行きました。「カメラだけはやめてくれ」と懇願しながら抵抗していた僕は、呆然としましたがふと立ち上がって彼らを追いかけました。アドレナリンなのか身体の痛みは全く感じませんでした。

 

すぐ追いついたところで、カメラを持った男が逃走しているうちにもう一人の男止まって僕と向かい合う形になりました。この追いかけている時に何組か人がいたので「泥棒だ!助けて!」と叫んで助けを求めました(求めたつもりでした。)みんな理解できなかったのか、面倒ごとに関わりたくなかったのか一瞥して歩き続けました。「カメラを返してくれ。」立ち止まった男に泣き叫んで懇願したけれど、彼はただ「カメラ?そんなもんどこにあるんだ!?」と返してくる。そして僕は逃走する男を目で追いながらも身体は恐怖のためか立ちふさがる男と3mくらいの距離で立ち止まったまま崩れ落ちてしまいました。後ろから青年が駆け寄ってきて「どうしたんだ?大丈夫か?」と状況を尋ねている間に、立ちふさがっていた男も逃げて行きました。

 

駆け寄ってきてくれた青年を中心に周りに数組の観光客が寄ってきて状況を尋ねるも理解してくれなかったので多分僕はまともに説明できてなかったのでしょう。僕の身体が無事そうとわかるとみんなそれぞれどっかへ行ってしまいました。その後呆然としながらホステルへ歩いて帰りました。

 

 

こんな感じが事件のあらまし。思ったよりまとまらなかったな。

 

まとめると

・19時ごろにガムラスタンの南側の橋の上で2人組の強盗にあう。

・首から下げていた大切なカメラを奪われた。

(sony a7mk2, FE24-240 f3.5-6.3, SDのその日1日分の写真。総額約23万円ほど)

・パスポートや財布など他のものは何も取られていない

・暴力は振るわれたが大きな外傷はなし

 

 

その後の話

事件当日以降の話を簡単に。

偶然同じホステルに日本人の方が泊まっていたので色々話を聞いてもらって少し落ち着いた。とりあえず携行品盗難で保険が降りるか聞きたかったので、クレカの付帯保険に連絡したところ、なんと留学のため期間外だったそう。これも結構ショック(100%確認不足な自分が悪いけど)深夜に一人でなんとかブログを書いて明け方に眠る。

 

翌朝は昼過ぎまでホステルにいた。その後一応日本大使館へ行ってみた深刻そうに話は聞いてくれたが、まあ当然大使館に何かできるケースではないので、警察の届けだけは出しておいた方がいいというので場所を教えてもらい行くことに。ちなみにストックホルムは治安がいいと聞いていたのでこういう事件があるのかきいてみたところ、置引きくらいはあるが、日本人がそんな強盗にあった事件はきいたことがないそうだ。やっぱりレアだったんだな。

 

警察に行き、カメラが帰って来ることは期待していなかったが、とりあえず状況を説明して届出だけは作ってもらおうと思った。警官のおばさんが結構熱心に話をきいてくれて、「私たちはこの事件をとっても深刻なものだと思っている。だからどんな些細なことでも思い出したら連絡してくれ」と言っていたので、嬉しかったし、少しは捜査とかしてくれるかなと思った。3日後くらいに捜査を打ち切るとのメールがきた。

 

そしてその日は宿に帰り、本当はあと1週間ほどバルトの方へ抜けて旅を続ける予定だったが、プラハに直接帰ることにした。航空券の値段の関係で、2日後の日曜日の夜の便を予約した。

 

翌日、時間があったのでカメラはないが街をぶらぶらとうろついてみた。天気は綺麗に晴れていて、街を見渡せる丘のような素敵なスポットも見つけた。でも頭の中は事件のことを考えているし、美しい光景を見ても、なんとなく違う世界のもののように感じた。カメラがないと自分が見る世界はなんか色褪せているんだなあ、とか思っていた。帰りに少し暗くなった道を歩いたのだが、無意識に全身が緊張し、すれ違う全ての人の挙動を注意深く観察し、右手は常に強く握りしめていた。宿に帰るまでの少しの道がめちゃくちゃ大変だった。

値段の関係で宿を移り、翌日は飛行機の時間まで一日中宿から出なかった。頭の中で割り切ろうとして、少しずつ整理をつけていたのに、空港に着いてからKindleがないことに気づいた。おそらく宿の枕の下に置いてきたのだ。ものすごい自己嫌悪に襲われた。でもこれは少し関係のないお話。

 

 

何がショックだったんだろう?振り返ってみて

 

さてはて当たり前なのですが、僕はひどいショックを受けました。怪我はおそらくありません。パスポートも財布も無事です。むしろ不幸中の幸いだったのでしょう。強盗が逃げた後に寄ってきた人は皆「体が無事でよかった。カメラはまた買えばいい」と言っていました。心配してくれて連絡をくれたみんなに無事でよかったと言われました。

 

僕はわからない。これは「よかった」のか。

もちろん二択で言えばよくないし、不幸な事件でしょう。

 

 

何より大切なカメラを守れなかったこと

 

身体が無事でカメラが無残にも奪われた状況。まあもちろん金額的に総計25万円に近いような学生にはすぎた値段のものだったというのも大きいです。正直金額的にもその時持っていた他の全てのものを取られた方が被害は少なかったでしょう。バカな学生がめちゃくちゃ働いてやっとこさ買えたものなのです。

 

でもまあ正直盗まれてるのは仕方ないと言えば仕方ないと個人的には思うのです。だってきっと彼らは間違いなくお金がなくて、僕が遠方から贅沢にも旅行にきた金持ちに見えたのでしょう。というか彼らからすればきっとそうでしょう。一人ででっかいたかそうなカメラを持ってふらふら歩いてるんですから、まさにかもがネギを背負ってきた状況です。自分が反対の立場だったらそういうことをしていないとは言い切れません。もちろんよくないことですが、彼らも法律に逆らうリスクをおった上でその行為をなしていて、それで生きているのかもしれません。彼らの状況を知らない上で一言「最低な行為だ」と一般的な言葉を振りかざすことは僕にはできません。もちろん個人的にはめちゃくちゃ憎んでますよ。今、目の前にいたらちぎれて手元に残されたストラップで首を絞め殺してやりたいです。

 

じゃあなんなのかと言うと、「一番大切なもの」を守れなかったことに対して本当に悔しさと苦しさがあります。

「一番大切だ」と少なくとも思っていて、そう言っているのにも関わらず、僕は恐怖のためかパニックのためかそれ奪われて逃げることに対して身を打ってまでの抵抗できませんでした。我が身可愛さに『自分の大切なもの』が奪われるのをミスミス眺めていたのです。「死んだら意味がないから当たり前じゃん」と思うだろうし、それが正論だけど、僕が自分の拠り所として立っていられたのは写真があったからこそなんです。僕はとっても弱い人間だから何か拠り所がないとふわふわ浮いていってしまうようで自分の存在を認めてあげられません。これは僕にとってその拠り所にしていたものを自分から裏切った体験なんです。これはある意味一生残ってしまう傷です。記憶の中でこれから先きっとことあるごとにこのことを思い出し苦しむんじゃないかと思います。『キノの旅』でキノが襲われて相棒のエルメスを見捨てて逃げるようなことがあってはならないんです。殺されて僕の人生が終わってしまおうがなんだろうが、その意味ではもしかしたら立ち向かうべきだったんじゃないかって気がしてならない。

 

コロンビアで殺害された男性は一橋大生・井崎亮さん 事件から再検討する安全な旅の方法 - エキサイトニュース

先輩が心配のコメントにこんな記事を送ってくれて抵抗しないでよかったということを諭してくれました。間違いないです。ニュースになってたのをよく覚えています。恐ろしい事件ですね。でも僕は、結果は凄惨なことになってしまったけれど、この人は不条理に対して恐怖に負けずに、立ち向かったんだなぁって思いました。勇気をもった人だったことを恐怖を体感した身として尊敬しました。

 

 

あいつらにあのカメラの何がわかるって気持ち

 

価値は、人が認めてこそ価値になるんです。原始時代の人に黄金を見せても、それは「綺麗だな」以上の何の価値も持ちません。もちろん現代人が見たら飛んで食いつくでしょう。それは価値を知って、認識しているからです。あのカメラは僕にとって25万円と言う大金と言う価値でもあるし、それ以上の価値を持っているものだったんです。盗んだ彼らにとっては何だったのでしょうか。「観光客のもっていそうな良さそうなカメラ」くらいの認識で奪い、きっと足がつかないような限られた場所で売り、大した値段でも売れず、ちょっと贅沢をする。それ以上何でもない。価値を知らないから。それだったら君たちが売る分の金額あげるから、大切なカメラを返してくれと言いたい。

戻ってこないのはわかっているから、せめて彼らがあのカメラを丁重に扱い、ちょっとでも良い値段で売って、彼らにとっての何か価値あるものにしてほしい。そしてあのカメラが新しく大切に扱ってくれる持ち主に出会ってくれることを切に願うばかりです。

 

 

周りの人を頼ってしまった弱さと他人

 

カメラを強奪されて犯人を追いかけたときの話なのですが、僕は横に人がすれ違っていることにふと気付き、彼らが一緒に戦ってくれるのではないか。強盗にあって旅行者を助けてくれるのではないか。そう思い「助けて」と叫びました。もしかしたらパニック状態の僕のいっていることが何もわからなかったのかもしれません。でも、それでも僕が困って泣き喚いているのはわかったんじゃないかと思うんです。期待していたんです。

でも彼らは目があった直後に振り返っていってしまいました。焦っていてそれどころじゃなかったけど、あの時の目だけは本当に忘れられません。強盗そのものより恐怖したし、絶望しました。でもきっとそれは僕の一方的な言い分でしかないのでしょう。

 

もし街中で外国人が一人泣き喚いていたらどうしますか?状況もわからないので、もしかしたら「面倒ごとに関わること」を避けて目をそらしてしまうかもしれないですね。僕もそうなのかもしれないと思いました。なので感じたのは他人を勝手にあてにしようとしたことへの後悔です。あの時他の人に頼ろうとして、絶望して、足は止まり、それ以上追いかけなくなってしまった。はなから見ず知らずの他人に助けてもらおうなんて考えが甘かったんですね。大切なものは自分で守らなきゃいけないし、自分で何とかしなければいけない。ちょっと切ないように感じるけど、これを厳然とした事実として認識しました。

 

もう一つ、犯人に対しても戦おうとする、全力で逃げる、などではなく本気で説得しようとしていました。「このカメラは僕にとって何よりも大切なんだ。お願いだ。頼むから取らないでくれ。」そう犯人に呼びかけました。「もしかしたら同情してやめてくれるかも」なんて甘すぎる考えがあったんだと思います。改めて考えると笑っちゃいますね。向こうだって出した手を今更引っ込めるのは難しいだろうし、そもそもそんな金持ち旅行者に対して同情する余地なんてないでしょう。命をとるわけでもない。「自分にとってカメラが大切なんだ!」と叫ばれたところで笑っちゃいますよね。「知ったことか」って。

 

総じて他の人を無遠慮に独りよがりに信じようとしたのが愚かだったなと思わされたって経験にもなりました。

 

 

実際に海外で強盗にあって思ったこと・対策など

 

あくまで僕個人の見解です。

 

結局一人で突然襲われたら大した抵抗もできないんだなあって思いました。やっぱりパニックになっちゃうんだと思います。

そしてやっぱり普通は抵抗しないほうが良いのだと思います。命が大事なら。財布でも何でも差し出して逃げるのがいいのかもしれません。僕もすぐ逃げるのがきっと一番よかったんだと思います。何を英語でタラタラ説得しようとしていたのか。蹴り飛ばしてさっさと大通りへ逃げ込めばよかったんだと。

 

もう一つ

どんなに「治安がいい」と言われていても、どこにでもそういう輩はいます。身をもって体験しました。ストックホルムなんて強盗からは程遠いように聞こえます。治安がよくて綺麗で先進的で整っている国。それでもいるんです。一人たびなんかする人は頭の片隅にでも入れておいてほしいなと。

 

 

対策

・夜道を歩かない

これは全くっていうのは無理ですよね、正直。できるだけ夜道は大通りを歩く。

 

・カメラを首から下げない、あんまり高価そうな大きなレンズをつけない

これもどこでも言われますよね。でもずっとカバンに入れているなんて無理です。写真撮りたい人は。なので不必要だなって思う時なんかはできればしまってあげるといいかもしれません

 

・外で疲れすぎない

これは結構思いました。その日僕は夜行バス明けで1日中歩き回っていたわけで本当にクタクタでした。そんな状態だったので注意力が落ちていたんですね。自分では普段はそこそこ用心深い方だと思ってるんですよ。常に後ろを誰かつけてないか確認しちゃうし、人の気配には割と敏感だったりします。でも疲れているとやっぱりそうもいかなくて、それで狙われたんでしょうね。

 

・とりあえず叫ぶ

これはもし襲われてしまった場合ですが、とりあえず何でも叫ぶといいと思います。あ、銃とか突きつけられてたら話は違うかもしれませんが。でもとりあえず日本語で何でもいいからめちゃくちゃに叫べば、相手も怯むし、周りに誰かがいたら寄ってくるかもしれません。それで犯人は逃げるかもしれません。襲われた瞬間考えてないでとりあえず大声で叫びまくってればよかったなとめっちゃ思います。

 

 

まあありきたりな対策を言いましたが、正直確実に防ぐことは無理です。やっぱり。確実に防ぎたいならそもそもどこも行かないで家にいるしかないんです。外国に来ている以上そのリスクは背負っているってこと認識した方がいいですね。

 

 

まとめ

 

めちゃくちゃ長くなってしまったけど、僕の今回の事件に対する思いを記録しておきたくて書きました。きっと何言ってんだこいつってところがたくさんあると思います。きっとちょっとずれてるんだろうなってこともやっぱりわかってます。でも正直に思ったことを書いているんです。命が無事でよかったとかよりも、僕は何よりもカメラを守れなかったことが悔しい。これが一番の気持ちなんです。

 

 

ちなみに今はプラハに帰って来て元気に生活しています。でも自分でも気付かないうちに元気を装ってる感じを感じたりしました。割り切ってるようで、まだまだひきづってるのかもしれません。ちょっとしたことがあって、今写真に嫌われてしまったような気がしてたまりません。残されたカメラのレンズキャップとストラップが切なくてたまりません。

写真撮りに行く予定とかいくつもあったのにもうどうしたらいいのかわかりません。次のカメラを買わなきゃいけないんだけど、値段的にも精神的にもしんどい。

 

でも「経験にはなった」と少なくとも思っています。

 

 

あと記事をあげたときにびっくりするくらい多くの人が心配して連絡くれました。ご心配おかけしました。僕の身体は無事なので安心してください。ご心配おかけしました。そして本当にありがとうございました。とっても元気つけられました。それと僕の撮る写真が好きだから撮り続けてって言ってもらえて本当に嬉しかったし、救われた気分でした。写真は撮り続けます。